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日外会誌. 94(5): 534-537, 1993


症例報告

所属リンパ節にサルコイド反応を伴った肝細胞癌, 重複早期胃癌の合併切除例

きぬ医師会病院 外科

足立 信也 , 上田 廣 , 石川 智義 , 尾崎 梓

(1991年10月16日受付)

I.内容要旨
サルコイド反応はさまざまな悪性腫瘍病変に伴ってみられるが肝細胞癌に伴うものは未だ報告されていない.われわれはstage2の肝硬変併存肝細胞癌とふたつの早期胃癌を合併した患者にサルコイド反応が認められた症例を経験した.症例は78歳, 女性.昭和55年からHBsAg陽性肝硬変で経過観察されている.今回, 平成3年2月に胃内視鏡検査で胃前庭部の早期癌と診断された.加えて, 術前検査で肝右葉前下区の原発性肝癌を指摘された.平成3年4月8日に肝右葉亜区域切除術と胃亜全摘術を施行した際に郭清したリンパ節20個中16個にサルコイド反応が認められた.文献上, 早期胃癌と肝細胞癌の合併例に伴うサルコイド反応の報告はなく, 意義あるものと考え, 報告した.

キーワード
sarcoid reactions, hepatocellular carcinoma, early gastric carcinoma

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