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日外会誌. 94(4): 412-415, 1993


症例報告

総胆管結石嵌頓に併発した Biloma の1例

1) 北海道大学 医学部第1外科
2) 沖縄県立南部病院 外科

中島 信久1) , 平良 健康2) , 大嶺 稔2) , 金城 隆夫2) , 上原 哲夫2) , 真喜屋 実佑2) , 内野 純一1)

(1991年8月10日受付)

I.内容要旨
総胆管結石の嵌頓により肝内胆管左枝からの胆汁の漏出により形成されたBilomaの1例を経験した.症例は55歳男性で, 腹痛を主訴に当科に入院した.腹痛は次第に軽減したが第5病日頃より再度増強し, 上腹部に巨大な腫瘤を触知し閉塞性黄疸も出現した.第7病日のCTで肝左葉下面に巨大な単房性の嚢胞を認めた. USガイド下に穿刺し胆汁を吸引し, Bilomaと診断した. PTCDにて総胆管下部に結石が2個嵌頓していた. Bilomaはドレナージにて次第に縮小し, 胆嚢摘出術及び総胆管切開截石術を施行した. Bilomaのうち, 外傷や外科的操作の既往なしに肝胆道系疾患に随伴してspontaneousに生じたものは, 本邦では自験例を含め12例であり, 9例は結石が原因であった.診断にはCT, US, シンチグラムが有用であるが, 最終診断は嚢胞内容中の胆汁成分の確認による.治療はまずドレナージにより急性期を脱してから, 待期的に原疾患に対して手術を施行するのがよい.

キーワード
総胆管結石嵌頓, Biloma, Spontaneous

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