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日外会誌. 94(4): 383-393, 1993


原著

特発性血小板減少性紫斑病に対する部分脾動脈塞栓術の長期効果についての検討

千葉大学 医学部第1外科

海保 隆 , 宮崎 勝 , 飯沼 克博 , 伊藤 博 , 小山 隆史 , 中川 宏治 , 中島 伸之

(1991年10月7日受付)

I.内容要旨
特発性血小板減少性紫斑病13例に対し計15回の部分脾動脈塞栓術 (以下PSE) を施行し, その長期予後につき検討を行った.
1) PSE後脾摘せず6カ月以上経過観察し得た症例は8例で, 完全寛解1例, 軽快3例, やや軽快1例, 不変3例で, 有効5例 (62.5%), 無効3例 (37.5%) であった.
2) PSE有効例と無効例において, 年齢, 男女比, 病悩期問, PSE前PAIgG値, PSE前血小板寿命, 初診時血小板数, PSE前血小板数, 脾塞栓率において有意の差は認めなかった. PSE後4週以内の最高血小板数は有効例43.0±12.4×104/μ L に対し, 無効例14.4±5.1×104/μLと有意に (p<0.01) 有効例が高値であり, その後のPSEの効果をある程度予測できた.
3) PSE後血小板増加良好の1例に, PSE後2週で脾摘を行い完全寛解となった.また, PSEが無効であった症例(脾塞栓率69%)に脾摘を行ったが, これは無効であった.
PSEを行うことにより無駄な脾摘を避ることができ, また.長期的にも日常生活に支障のない範囲に血小板数のコントロールが可能であり, その有効率も脾摘とほぼ同じであった. PSEはITPの治療において, 脾摘に代わりうるより侵襲の少ない治療法になるものと考えられる.

キーワード
特発性血小板減少性紫斑病, 部分脾動脈塞栓術, 脾摘, PAIgG


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