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日外会誌. 94(4): 376-382, 1993


原著

異種膵ラ島移植における Cyclosporine A, FK506および15-Deoxyspergualin の多剤併用効果

奈良県立医科大学 第1外科

上野 正義 , 中島 祥介 , 金廣 裕道 , 吉村 淳 , 中野 博重

(1991年10月8日受付)

I.内容要旨
Hamster-rat間異種膵ラ島移植をモデルとし, Cyclosporine A (CsA), FK506 (FK)および15-Deoxyspergualin (DSG) の単独および併用投与による免疫抑制効果につき検討した.
無処置群の平均生着日数は2.9±0.6日であった.移植当日より連日CsA 20mg/kgを経口投与した群, FK 0.5mg/kgおよびDSG 1mg/kgを筋注投与した群の平均生着日数はそれぞれ6.2±2.0日, 6.4±1.6日, 5.2±1.9日であり, 無処置群に比べ若干の生着延長効果を認めた. CsA 20+ FK 0.5mg/kg併用投与群では12.9±6.3日と相加的, CsA 20 +DSG 1mg/kgおよび FK 0.5+ DSG 1mg/kg投与群ではそれぞれ31.4±13.2日, 30.7±6.5日と相乗的生着延長効果を認めた.しかし, CsA, FK, DSGによる3剤併用投与群においては, 2剤併用投与群以上の生着延長効果は得られなかった.lymphocytotoxic antibody titerは, CsA, FK, DSG単独投与群において移植後上昇するが, 併用投与群において液性抗体の産生は完全に抑制された.胸腺におよぽす組織学的変化では, CsA+FK投与では皮質は保持されるが髄質の著明な萎縮を認め, CsA+DSGおよびFK+DSG投与では皮質と髄質両者の萎縮を認めた.
以上のごとく, CsAあるいはFKとDSGとの免疫抑制機序の違いが示唆され, 異種膵ラ島移植においてもDSGとCsAもしくはFKを併用することにより著明な生着延長効果を得られることが確認された.

キーワード
異種膵ラ島移植, FK506, 15-Deoxyspergualin, Cyclosporine A, 免疫抑制剤多剤併用療法

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