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日外会誌. 94(4): 352-358, 1993


原著

胃切除後の胆嚢胆道系超音波異常像に関する臨床的検討

東海大学 医学部第2外科

原 俊介 , 生越 喬二 , 三富 利夫

(1991年11月5日受付)

I.内容要旨
胃癌症例207例で術前より術後1年まで経時的に超音波検査を施行し, 胃切除術術後の胆石生成過程を検討した.その結果, 超音波異常所見の術後の発現率は癌の進行した症例, 制癌剤投与例に高頻度に見られたが, 手術術式, 再建術式, リンパ節の郭清の程度別には差を認めなかった.胆石所見は術後3カ月より発現し, 術後12カ月時超音波検査施行例 (135例) では18例(13.0%)に見られた.そのうち, 胆泥, 胆砂所見からの移行は10例に見られた.一方, 術前より術後12カ月まで経時的に観察し得た53例では, 胆石所見例が9例 (17.0%) に見られ, 胆泥, 胆砂所見からの移行は7例に認められた.胆石, 胆泥, 胆砂, 胆管拡張のみられた超音波異常所見例の術後1日, 7日目の血清トランスアミナーゼ値(GOT)および術後1日, 7日, 14日目の血清トランスアミナーゼ値(GPT)は, 術前値に比べて有意の上昇を示した.以上より, 術後早期に発生する肝機能障害と胆泥, 胆砂の出現は胃切除後胆石の形成に重要な役割を果たしており, さらに, 術後補助化学療法剤も胆石生成を助長する誘因の一つと考えられた.

キーワード
胃癌切除術後合併症, 超音波検査, 胆石, 血清トランスアミナーゼ, 術後補助化学療法剤

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