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日外会誌. 94(2): 155-158, 1993


原著

X線CTによる脾・肝容積比からみた劇症肝炎の予後判定

*) 関西医科大学 外科
**) 関西医科大学 救命救急センター

上辻󠄀 章二 , 山村 学 , 駒田 尚直 , 奥田 益司 , 日置 紘士郎*) , 上殿 泰成 , 田中 孝也**)

(1991年9月24日受付)

I.内容要旨
過去5年間に経験した劇症肝炎10症例を対象とし, 診断時X線CT画像より肝および脾臓の容積を計測し, 脾・肝容積比(S/L ratio) を算出して, 各症例の予後と比較検討した.
S/L ratioの対照群の値は0.122±0.026 (mean±SD), 劇症肝炎生存群5例では0.112±0.021, 劇症肝炎死亡群5例では0.308±0.136で, 対照群と劇症肝炎死群, 劇症肝炎生存群と死亡群の間にp<0.05の有意差を認めた. S/L ratioの高値は, 肝萎縮や脾腫を反映しており, S/L ratioが高値を示した症例は予後不良で, 対照群とほぼ近似値を示し脾腫や肝萎縮のみられなかった症例は予後良好であった.
劇症肝炎診断時に, X線CT画像よりS/L ratioを測定することは, その予後予測の指標の1つとなると考えられた.

キーワード
Computed Tomography, 脾・肝容積比, 劇症肝炎

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