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日外会誌. 94(2): 128-137, 1993


原著

大腸癌患者末梢血Tリンパ球のブタノール抽出可溶性抗原in vitro
感作により誘導される特異的細胞障害性T細胞の解析

京都府立医科大学 第2外科学教室

濱頭 憲一郎 , 主任・岡 隆宏教授 

(1991年9月20日受付)

I.内容要旨
進行大腸癌患者の末梢血リンパ球(PBL)からin vitro細胞傷害性T細胞(CTL)を誘導し, その増殖活性, 細胞傷害活性を主とした性格解析をおこなった.
PBL-T細胞を10-3μg/ml CBEと100U/ml IL-2でin vitro 14日間培養後のIL-2リセプター発現率は非刺激(7.1%)に比べて, 47.3%と有意の活性増強を示した(p<0.001).CBE単独群(27.4%)に比べても有意の活性増強を示した(p<0.01).また, 自己腫瘍細胞に対し, IL-2単独(14.7%)に比べて, 併用群は, 26.4%と有意の傷害活性を示した(p<0.001).CTLのin vitro 増殖はCBEの比較的低濃度でIL-2依存性増殖を増強するが, CBE濃度を0.25μg/ml以上にすると増殖活性は強い抑制を受けた(p<0.001).したがってCTLのin vitro 増殖はCBEによる濃度拘束性を受けた.
同一大腸癌患者からPBL, 腫瘍浸潤リンパ球(TIL), リンパ節リンパ球(LNC)を分離し, 10-3μg/ml CBEと100U/ml IL-2で14~21日間培養して得られた細胞のリンパ球表面抗原はPBLで高いCD8陽性細胞が得られたのに対し, TIL, LNCからは主としてCD4陽性細胞が誘導された.このときCD8陽性細胞は自己腫瘍細胞傷害活性を示したが, CD4陽性細胞は自己腫瘍細胞傷害活性を示さなかった.
以上の結果より, PBLからCBEとIL-2で誘導し,in vitroで増殖させたCTLは大腸癌術後のリンパ球移入療法(AIT)への臨床応用が可能であることが示された.

キーワード
butanol-extracted soluble antigen, autologous-tumor specific cytotoxic T cell, in vitro proliferation


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