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日外会誌. 94(2): 114-118, 1993


原著

Crohn 病の手術後再発型式:perforating type と non perforating type の比較

横浜市立大学 医学部第2外科

杉田 昭 , 福島 恒男 , 山崎 安信 , 原田 博文 , 郷 克己 , 小金井 一隆 , 土屋 周二

(1991年8月19日受付)

I.内容要旨
Crohn病手術例では再発率が比較的高く, 再発時期や再発型式を知ることは重要である.Crohn病を初回手術の適応より, 遊離穿孔, 膿瘍, 瘻孔を含むperforating type(P型)と, 腸閉塞, 内科的治療に抵抗する難治例, 出血, 穿孔を伴わない中毒性拡張を含むnon perforating type(NP型)の2群に分類し, 再発率, 再発型式について検討した.
対象は自験例のうち, 6ヵ月以上, 十分な経過観察ができた44例でP型は18例, NP型は26例であり, 両群間で手術時年齢, 罹患範囲による病型, 手術後経過観察期間に差はなく, 初回手術までの罹病期間はNP型で中央値1.7年と, P型の4.2年に比べて有意に短かった.
両群の再発率はcrude recurrenceでP型が39%, NP型が54%, cumulative recurrence rateでは, 手術後5年でP型は58%, NP型は48%であり, 両群間に有意差はなかった.
再発型式の検討を初回手術時にP型であった18例中の再発例7例(39%)と, 初回手術時にNP型であった26例中の再発例14例(54%)について行った.初回手術時P型で再発した7例で再発時にP型であったものは6例(86%)であるのに対し, NP型症例中再発した14例で再発時にP型であった症例は4例(29%)のみであった.即ち, P型の再発は初回手術時にP型の症例に有意に多く見られ(P=0.013), 再発時の病型は初回手術時の病型と同様となると考えられた.
Crohn病を初回手術の適応でperforating typeとnon perforating typeに分類すると, 再発率に差はないが, 再発型式は初回手術時の病型と同様となることから, 両者はCrohn病の異なるentityである可能性が示唆された.

キーワード
Chohn 病, 手術後再発, perforating type, non perforating type


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