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日外会誌. 94(1): 27-32, 1993


原著

胃癌患者の術前免疫療法
-特に, OK-432経口投与におけるリンパ球サブセットとインターロイキン 2 からの検討-

群馬大学 医学部第2外科(主任:森下靖雄教授)

泉 勝

(1991年3月29日受付)

I.内容要旨
胃癌患者に対するOK432の経口投与による免疫能への影響, 特にgut associated lymphoid tissue(GALT)の一つである所属リンパ節の免疫能に与える影響について検討した.術前にOK432を経口投与したstageI+ II群(27例), stageIII+ IV群(13例)を対象とし, OK432非投与の20例をコントロールとした.免疫パラメーターとして, 末梢血, 胃所属リンパ節と脾臓リンパ球のsingle及びtwo colorサブセット, NK活性, IL-2産生能, IL-2リセプターを測定した.OK432の経口投与で, 1) 末梢血, 脾臓中の免疫パラメーターの変化はstage I+ II群, stage III + IV群ともに認められなかった.2) 胃所属1群リンパ節(近位)のOKT3, OKT4, OKT4/OKT8比は非投与群に比べ有意に(p<0.05)増加し, OKT4+2H4は増加の傾向を示した.3) 胃所属リンパ節のOKT8, OKT8+Leu15に変化はなかった.
以上より, OK432の経口投与で, 胃癌所属リンパ節のhelperT細胞誘導を介した免疫能の賦活化が可能であり, 抗腫瘍免疫発現に重要なGALTの効果的免疫療法への応用が期待される.

キーワード
胃癌, 免疫療法, OK432経口投与, リンパ球サブセット, IL-2


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