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日外会誌. 93(11): 1420-1426, 1992


原著

Cox の比例ハザードモデルによる甲状腺乳頭癌の予後因子に関する研究
ー平均追跡期間130ヵ月の検討からー

横浜市立大学 医学部第1外科(主任:松本 昭彦教授)

呉 吉煥

(1991年3月28日受付)

I.内容要旨
甲状腺乳頭癌の予後因子の解析にあたり, Cox's proportional hazard modelを用いて多変量解析を行い以下の結論を得た.対象は昭和39年から昭和62年の24年間で横浜市立大学第1外科で甲状腺乳頭癌と診断され外科治療を施行された227例の患者である.予後因子として,性差,診断時の年齢,腫瘍径,リンパ節転移の有無, リンパ節転移個数,局所浸潤の有無,遠隔転移の有無,甲状腺に対する切除法とした.それぞれの因子についてKaplan-Meier法にてその累積生存率を求め,更にSAS programを用いたCox's proportional hazard modelにより多変量解析を行った.その結果,統計学的に診断時の年齢(x2=18.93, p<0.0001, β=0.06, risk比=0.203),局所浸潤の有無(x2= 14.55, p<0.0001, β=0.75, risk比= 0.175),性差(x2=7.63, p<0.01, β=-0. 91, risk比-0.117)が挙げられた.
これらの結果より,甲状腺乳頭癌の予後因子として診断時の年齢が50歳以上および局所浸潤の有る場合が悪く,特に診断時の年齢が最も重要な予後因子であることが解析できた.従って,甲状腺乳頭癌の治療に対して年齢を考慮した治療選択肢が必要と考えられた.

キーワード
甲状腺癌, 甲状腺乳頭癌, Cox 回帰, 多変量解析, 予後因子

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