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日外会誌. 93(11): 1384-1389, 1992


原著

胃切除後脂肪肝症例の検討

大阪厚生年金病院 外科

山崎 元 , 種村 匡弘 , 森本 芳和 , 橋本 純平 , 坂本 嗣郎 , 山崎 芳郎 , 桑田 圭司

(1991年7月10日受付)

I.内容要旨
日常の腹部超音波検査(US)において, 胃癌術後のfollow upの際に偶然発見される胃切除後胆石症とほぼ同頻度に胃切除後脂肪肝とUS上診断される症例が存在することが判明したため,胃切除術式別に術後脂肪肝発生の有無につき検討を加えた.また,その発生機序を解明すべく術前後に糖負荷試験を施行し,末梢血中血糖(BS),インスリン(IRI), non-esterified fatty acid (NEFA), triglyceride(TG)を測定し,その変動を比較検討した.
その結果,胃切除後脂肪肝は29/176例(16.5%)に認められ,その内訳は胃部分切除, B-I法12/104例(11.5%),胃全摘17/72例(23.6%)であり,その発生頻度は胃部分切除例に比し胃全摘例で有意に多かった.また,手術時年齢が60歳未満の症例において胃切除後脂肪肝は高頻度に認められた.
さらに,糖負荷試験の結果,胃切除後にはoxyhyperglycemiaおよび高insulin血症が認められ,60Σ0⊿IRIおよび60Σ0⊿TGは術前に比し有意に増加した.また,術後脂肪肝例では非脂肪肝例に比し高血糖,高insulin血症を呈し, 60Σ0⊿BSの有意な増加を認めることから,その発生には糖代謝異常の関与が示唆された.

キーワード
胃切除後脂肪肝, 超音波検査, 糖負荷試験, 糖代謝異常

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