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日外会誌. 93(10): 1337-1340, 1992


原著

高齢者冠血行再建術の問題点

*) 名古屋大学 胸部外科教室
**) 小牧市民病院 心臓外科
***) 公立陶生病院 心臓外科
****) 市立岡崎病院 心臓外科

保浦 賢三*) , 岡本 浩*) , 松浦 昭雄*) , 小川 裕**) , 星野 元昭***) , 朝倉 貞二***) , 関 章****)

(1991年6月6日受付)

I.内容要旨
高齢化社会のため最近では高齢者に対する冠血行再建術(CABG)の症例数は増加しつつある.著者らは1980年6月から1990年12月までに582例のCABG単独手術を施行したが, 70歳以上の高齢者は75例で,平均年齢は73.1歳であった.これらの高齢者群は70歳未満の群と比較して以下のような特徴がみられた.術前の状況として,高齢者群では,女性が多く,緊急・準緊急手術の頻度が高く,また三枝病変と糖尿病の合併頻度が高かった (いずれもp<0.01).手術成績は高齢者群は70歳未満群に比較して不良で,手術・入院死亡率に有意差がみられた (p<0. 05).高齢者群の手術・入院死亡の原因は,心臓由来の原因と脳血管障害によるものが主で,緊急手術に起因することが多いことが判明した.以上の結果より,高齢者CABG手術成績向上のためには,虚血性心疾患の高齢者に対しては積極的に冠動脈造影検査を行って予定手術を行うことが有意義であると考えられた.

キーワード
高齢者心臓手術, 動脈グラフト, 緊急 CABG, 脳血管障害


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