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日外会誌. 93(10): 1305-1311, 1992


原著

予後から見た大腸癌間質及び辺縁組織のリンパ球浸潤と皮内反応との関連について

刈谷総合病院 外科
*) 名古屋市立大学 医学部第1外科

宇佐見 詞津夫 , 上田 修久 , 佐藤 幹則 , 神谷 保廣 , 大久保 憲 , 小谷 彦蔵 , 由良 二郎*)

(1991年6月20日受付)

I.内容要旨
大腸癌切除例126例の組織について検索し,局所のリンパ球浸潤の程度をI°~V゜に分類し局所のリンパ球浸潤とSu-PS皮内反応, PPD皮内反応との関連について検討した.そして局所のリンパ球浸潤が担癌生体における細胞性免疫能の局所表現と考えることが可能かどうか検討した.局所のリンパ球浸潤について大腸癌間質と大腸癌辺縁について観察した.術後におけるPPD皮内反応は大腸癌間質リンパ球浸潤高度例が軽度例に比較してやや急激な増加をみた. Su-PS皮内反応は,大腸癌辺縁のリンパ球浸潤が高度な例では強い反応を示す傾向を示し,大腸癌間質リンパ球浸潤高度例においても皮内反応は強く表現された.また,局所のリンパ球浸潤の程度は皮内反応と共に予後に強く影響した.以上より皮内反応特にSu-PS皮内反応は担癌生体の局所免疫能を推定せしめるものであり,癌の進展度の術前評価の指標として有用と考える.
更に,手術により一時的に免疫能は上昇するが, 24カ月を過ぎると予後不良なものは著しく免疫能は低下傾向を示す.いつまで免疫化学療法を続けるかが問題であるが,われわれは24カ月を目途にこの時期を中心に免疫化学療法を集中的に行うことが必要と考えている.

キーワード
リンパ球浸潤, 大腸癌, 皮膚反応

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