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日外会誌. 93(8): 800-804, 1992


原著

手術不能・再発胃癌におけるレンチナン・テガフール併用療法による臨床効果発現と IAP およびアルブミン変動の関係

1) 成田赤十字病院 外科
2) 千葉大学 医学部第1外科

石神 博昭1) , 小川 清1) , 藤本 茂2) , 奥井 勝二2)

(1991年6月1日受付)

I.内容要旨
手術不能および再発胃癌症例43例にレンチナン・テガフール併用療法を施行し,生存期間, PSの改善および臨床症状の改善と血清IAPおよびアルブミンの変動との関連について検討した.腫瘍縮小はPRが1例 (2%) に認められたのみであったが, PSの改善および食欲不振や疼痛などの臨床症状の改善は計18例 (42%) に認められた. IAPは減少が25例 (58%) に認められ,アルブミンは増加が20例 (47%) に認められた.本療法の前後でアルブミンが増加,または不変であった30例においては22例 (73%) の症例にIAPの増加が認められず,両因子の変動の逆相関の傾向が認められた. IAPについては前値が500μg/ml以上の異常値から減少した症例に生存期間の延長の傾向が認められ,また,アルブミンについては前値が3.5g/dl未満の異常値から増加した症例に有意な生存期間の延長が認められた.また,臨床効果の認められた症例の78%においてはIAPが増加を示さず, 72%の症例においてはアルブミンが減少しなかったことから,本療法による延命効果および臨床症状の改善はIAPおよびアルブミンの変動と関連することが示唆された.

キーワード
レンチナン, IAP, アルブミン, 胃癌

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