[書誌情報] [全文PDF] (1906KB) [会員限定・要二段階認証]

日外会誌. 93(6): 626-631, 1992


原著

同種膵移植におけるFK506の有効性に関する実験的研究

千葉大学 医学部第2外科

剣持 敬 , 浅野 武秀 , 有田 誠司 , 中郡 聡夫 , 榎本 和夫 , 落合 武徳 , 磯野 可一

(1991年4月16日受付)

I.内容要旨
同種膵移植におけるFK506投与の有効性に関する基礎的検討を行った.雑種成犬を用い,膵・膀腕吻合法による同種部分膵移植モデルを作製し,移植後FK506の効果を種々の投与法にて検討した.連日投与群では,0.3mg/kg筋注投与,1.0mg/kg経口投与により拒絶反応はみられず,著明な生着延長効果が得られた.しかしながら連日投与群では食思不振,体重減少等の重篤な副作用がみられた.短期大量投与群では1.0mg/kg 3日間(移植後4~6日)投与にて持続投与と同様の免疫抑制効果を示し,かつ体重減少が有意に抑制され,訓作用の軽減が可能であった.更にFK血中濃度を測定すると,連日投与群では直線的に上昇し,休薬の必要性が示唆され,短期大量投与群では投与終了24時間後の血中濃度が4ng/ml以上を示すものでは副作用が重篤であったことより,血中濃度モニタリングによる投与量の調節,副作用の軽減が可能と思われた.以上の結果より,血中濃度モニタリングによるFK506の投与は膵移植後の免疫抑制,拒絶反応の治療において有効であると考えられた.

キーワード
膵移植, 免疫抑制剤, FK506, FK506血中濃度, 副作用


<< 前の論文へ次の論文へ >>

PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。