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書誌情報]
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日外会誌. 93(6): 569-577, 1992
原著
小児の食道静脈瘤,先天性食道狭窄症術前・後の食道胃噴門部機能について
-内圧学的検討-
I.内容要旨食道静脈瘤で食道離断術,先天性食道狭窄症で食道部分切除・吻合術を行った小児の,術前・術後早期・遠隔期の食道運動機能を食道内圧により評価し,比較検討した.
1)食道静脈瘤症例は1歳8カ月~9歳時に食道離断術が施行された8例である.術前と術後1カ月以内に測定した4例のLES圧は術前30cmH
2Oから術後16cmH
2Oに低下したが,術後11カ月~10年で測定した8例では30cmH
2Oと回復していた.LES長は術前,術後早期,遠隔期とも2. 7~2.9cmで変動はなかった.GER誘発試験は術前は陰性で,術後早期でも1例を除き陰性であった.LES弛緩反応は術前・術後とも陽性であったが,1期的開胸経横隔膜的手術を行った1例では術後早期に弛緩反応が陰性となり,術後2年では陽性とLES機能は回復した.2)食道狭窄症例は生後11カ月~2歳8カ月時に食道部分切除・端々吻合が施行された7例と生後11カ月時よりブジ一療法が行われた1例である.術前・術後に測定した7例の術前LES庄は29cmH
2Oで,術後1カ月以内の5例では33cmH
2Oと低下はなく,術後7カ月~4年で測定した7例でも29cmH
2Oと変動がなかった.LES長は1.8~2.0cmと変化なかった.LES弛緩反応は術前下部食道狭窄例に陰性例があり,術後早期は陰性のままであったが,遠隔期で陽性となった.しかし腹部食道の2例は遠隔期でも陰性であった.GER誘発試験は術後3例が陽性で,うち1例は2年後には陰性となった.
食道離断術後早期にはLES機能が低下するが,遠隔期には食道・胃噴門機能は回復した.先天性食道狭窄症の食道部分切除・端々吻合術後はLES機能は変化しないが,術前より機能障害がみられる下部から腹部食道例は術後長期間機能障害が続くと考えられた.両疾患の術後のLES機能障害は食道離断や食道切除・吻合部位とLES間の距離が関与していると考えられた.
キーワード
食道内圧, 食道静脈瘤, 先天性食道狭窄症, 食道離断術, 食道部分切除・端々吻合術
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