[書誌情報] [全文PDF] (519KB) [会員限定・要二段階認証]

日外会誌. 93(4): 413-418, 1992


原著

乳癌集団検診における中間期発見乳癌の特性

1) 徳島大学 医学部第2外科
2) 徳島大学 医療技術短期大学部

駒木 幹正1) , 森本 忠興2) , 大下 和司1) , 小西 康備1) , 森 俊明1) , 笹 三徳1) , 門田 康正1)

(1991年3月5日受付)

I.内容要旨
乳癌集団検診における中間期発見乳癌の特性と予後をみるために,中間期発見乳癌21例(中間期群)を集検発見乳癌症例87例(集検群),外来発見乳癌症例266例(外来群)と対比検討した.
対象症例の術後観察期間の平均は7.27年である. 7年健存率は中間期群,集検群,外来群で61.1%,81.4%, 69.0%であり,集検群と外来群の間に有意差(p<0.05)がみられた.また,集検時における中間期群21例の腫瘤径を推定された腫瘍倍増時間から試算すると,その平均値は集検群の2.10cmより低く, 1.51cmであった.原発巣の組織学的悪性度を検討した結果,中間期群では核分裂像の頻度の高い症例の相対頻度が集検群,外来群に比べて多かった(p=0.0017).
中間期発見乳癌症例は肥満や,若年といった臨床診断の困難なものとしての特徴はみられず,細胞分裂の盛んなもの,すなわち増殖の盛んな腫瘍細胞をもつ症例が集検群や外来群に比べて多かった.中間期発見乳癌が集検時に発見されなかったのは,見逃しよりも,細胞増殖性の高い癌腫が多くみられることによると思われた.

キーワード
乳癌, 集団検診, 中間期発見癌, 組織学的悪性度, 腫瘍倍増時間


<< 前の論文へ次の論文へ >>

PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。