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日外会誌. 93(1): 1-8, 1992


原著

輸血時期を中心とした輸血の抗腫瘍免疫への影響に関する研究

滋賀医科大学 第1外科(主任教授:小玉正智)

土増 聡 , 寺田 信國 , 佐野 晴夫

(1990年9月17日受付)

I.内容要旨
近年,輸血の効果が免疫抑制状態を誘起しうる可能性が示唆されている.そこで我々は,輸血の効果の作用機序を解析するために,マウスを使用して,各種の実験を行った. 1) H-2の異なる輸血群は有意差をもって腫瘍の増殖促進効果を認めた. 2) 成分輸血においてリンパ球群は有意に腫瘍の増殖促進効果を認めた.3) 輸血時期について腫瘍移植7日前,腫瘍移植時,腫瘍移植4日後の3つの輸血群はすべて生存率の低下を認めた.4) 腫瘍切除時の輸血モデルを作成して細胞障害性試験を行ったところ, anti-tumor CTL, TNP-CTL, 及びNK活性はすべて低下した.5) CTL活性の低下の原因としてsuppressor cellの誘導が示唆された.
以上より,輸血によって腫瘍の増殖促進及び生存率の低下が認められ,その作用機序としてCTL活性やNK活性の低下が関与していることが示唆された.

キーワード
輸血, 成分輸血, 輸血時期, CTL 活性, NK 活性

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