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日外会誌. 92(8): 1027-1030, 1991


症例報告

弾力線維仮性黄色腫に合併した上部消化管出血の1例

大阪大学 医学部救急医学

山村 仁 , 平出 敦 , 田伏 久之 , 山本 啓雅 , 杉本 壽 , 吉岡 敏治 , 杉本 侃

(1990年7月14日受付)

I.内容要旨
症例は,13歳頃に2回吐血の既往を有する44歳の女性で,胃体上部前壁からの出血が持続するため当科紹介となった.その後,皮膚所見,眼底所見により弾力線維仮性黄色腫に伴う消化管出血と診断した.内視鏡的止血術,胃切開の上,出血部位の縫合止血術を施行したが,いずれも止血し得ず胃全摘術を余儀なくされた.摘出標本の病理学的検索では,出血部位のみならず胃全体にわたり,粘膜下層の小~中血管の内弾性板の変性と固有筋層の著明な萎縮が認められた.弾力線維仮性黄色腫に伴う消化管出血の報告は,英語文献上に21例,日本語文献上に2例あるが,摘出された胃全体についての病理学的検討は,従来の症例では行われていない.その病理所見は,本疾患の治療選択に重要な示唆を与えていると考えられた.

キーワード
弾力線維仮性黄色腫, 上部消化管出血, 胃全摘術


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