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日外会誌. 92(8): 1010-1015, 1991


原著

間歇性跛行肢の予後
ー血行再建群と保存的治療群の比較ー

山口大学 医学部第1外科

善甫 宣哉 , 吉村 耕一 , 秋本 文一 , 中村 丘 , 大原 正己 , 若松 隆史 , 江里 健輔

(1990年8月22日受付)

I.内容要旨
下肢閉塞性動脈硬化症における間歇性跛行肢の遠隔期予後を血行再建群(130例175肢)と保存的治療群(27例31肢)で比較し,跛行肢の手術適応の良否を検討した.死亡症例数は血行再建群では手術死亡3例,遠隔死亡21例の計24例(18.5%),保存的治療群では11例(40.7%)であった.死亡原因は両群ともに虚血性心疾患を含む心不全が最も多くを占めた.血行再建群の5年累積開存率は大動脈・腸骨動脈病変92.5%,大腿・末梢動脈病変70.6%,大動脈・大腿・末梢動脈病変82.0%であった.死亡症例を除いた血行再建群と保存的治療群の遠隔期症状改善率は,大動脈・腸骨動脈病変ではそれぞれ87.2%,25.0%,大腿・末梢動脈病変ではそれぞれ57.7%,25.0%,大動脈・大腿・末梢動脈病変ではそれぞれ86.7%,0%であった.間歇性跛行肢に対する血行再建の遠隔期予後は保存的治療に比べ良好であり,重篤な併存疾患や悪性腫瘍合併例を除いて積極的に血行再建が考慮されるべきである.

キーワード
下肢閉塞性動脈硬化症, 間歇性跛行, 遠隔期予後, 血行再建術, 保存的治療

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