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日外会誌. 92(8): 951-956, 1991


原著

肝門部浸潤を伴った胆道癌切除例における尾状葉胆管枝造影所見の検討

名古屋大学 医学部第1外科

深田 伸二 , 二村 雄次 , 神谷 順一 , 前田 正司 , 近藤 哲 , 安井 章裕 , 塩野谷 恵彦

(1990年7月27日受付)

I.内容要旨
尾状葉合併切除を行った胆道癌症例を対象に尾状葉胆管枝(B1)への癌浸潤の有無とB1造影所見を対比検討した.1985年7月から1989年10月までに切除した左右肝管合流部への浸潤を伴う胆道癌は43例で,そのうちの42例に対してのべ64本のB1の造影所見と病理所見を対比できた.42例の内訳は胆管癌27例,胆囊癌15例であった.B1の所見は経皮経肝胆道ドレナージ(PTCD)チューブからの造影や経皮経肝胆道鏡(PTCS)による直接胆管造影像で検討した. B1根部の造影所見は狭窄なし9本(A群),短い狭窄18本(B群),長い狭窄16本(C群),造影不良21本(D群)であった.A群では,1本のみに上皮内癌進展を認めた.B群では,6本(33%)に癌浸潤を認め,5本は上皮下癌浸潤,1本は上皮内癌進展であった.残る12本(67%)ではB1根部に癌を認めず,炎症細胞浸潤と線維増生による狭窄であった.C群ではB1根部近傍に癌浸潤を認める疑陽性7本も含めると上皮下癌浸潤13本(81%),上皮内癌進展1本(6%),その両方とも認められるもの2本(13%)であった.D群では疑陽性1本を含め上皮下癌浸潤16本(76%),上皮内癌進展1本(5%),両方認められるもの4本(19%)であった.B1の造影不良例や長い狭窄を認める例では根部あるいは根部近傍への癌浸潤を全例に認めた.短い狭窄例でも33%が癌浸潤陽性であった.B1の造影不良例やB1根部に狭窄を認める肝門部浸潤胆道癌の根治手術においては尾状葉合併切除が必要である.

キーワード
肝門部胆管癌, 尾状葉切除, 尾状葉胆管枝, 胆管造影

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