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日外会誌. 92(7): 785-793, 1991


原著

外科侵襲下における高濃度分岐鎖アミノ酸投与の効果

千葉大学 医学部第1外科

武田 雄一 , 田代 亜彦 , 真島 吉也 , 山森 秀夫 , 堀部 和夫 , 西沢 正彦 , 奥井 勝二

(1990年6月4日受付)

I.内容要旨
消化管手術症例39例の術前後に,30%高濃度分岐鎖アミノ酸(BCAA)液を用いて高カロリー輸液を行い(T群),従来のアミノ酸溶液を用いた対照例(P群)と比較した.両群ともアミノ酸2.0g/kg・dayエネルギー 35kcal/kg・dayを投与した.窒素平衡は,T群が良好であり術後早期で有意差があった.また尿中総カテコールアミン排泄量(U-CA)は,BCAA投与により影響を受けないことからU-CAを侵襲の指標として検討したところ,窒素平衡とU-CAの相関はP群でr=-0.683,T群でr=-0.646でどちらも有意の負の相関があった.また,共分散分析の結果,2つの相関の間には有意差があり,同じ侵襲に対する窒素平衡はT群が良好であった.尿中3-methylhistidine排泄量は,術前後を通して両群間に差がなかった.rapid turnover proteinは,T群が高く術後第10日で有意であった.アミノ酸の大腿動静脈較差の検討によるとphenylalanine,tyrosineには両群の間に差がなかったが,BCAAの取り込みとglutamine,alanineの放出はT群の方が多かった.以上より高濃度分岐鎖アミノ酸投与は侵襲下の蛋白代謝改善に有効であり,これには骨格筋ばかりでなく内臓蛋白の関与が大きいと思われた.

キーワード
分岐鎖アミノ酸, 尿中総カテコールアミン排泄量, 大腿動静脈アミノ酸分析

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