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日外会誌. 92(6): 746-749, 1991


原著

死体腎移植後の早期機能に与える EC 液あるいは UW 液の効果

岡山大学 医学部第1外科
*) 国立岡山病院 外科

阪上 賢一 , 塩崎 滋弘 , 高須 伸治 , 斎藤 信也 , 黒住 陽一 , 田中 信一郎*) , 折田 薫三

(1990年5月26日受付)

I.内容要旨
1985年11月から1990年3月までに行われた死体腎移植55例を,使用された保存液の種類からEC液群(I群)とUW液群(II群)に分け,移植腎機能に与える影響を検討した.ドナーからの腎摘出は全例心停止後に行われ,免疫抑制法は両群ともシクロスポリン+ソルメドロール+アザチオプリンの3剤併用投与を行った.温阻血時間はI群で7.1±3.3分,II群では6.9±2.3分であり,両群間に有意差はなく,冷阻血時間はI群で6.9±2.4時間,II群では8.4±2.8時間と,II群で保存時間の長い傾向がみられた.移植後の透析日数ではI群では14.0±7.9日であるのに対し,II群では7.9±5.8日と有意に(p<0.05)移植後透析日数の短縮がみられた.移植後1カ月の血清クレアチニン値の比較では,I群は2.9±2.8mg/dlであるのに対し,II群では1.75±1.0mg/dlと良好な移植腎機能の回復がみられた.さらに,1カ月の移植腎生着率は,I群81.4%,II群92.8%と,II群が良好な移植腎生着率を示した.以上のごとく,初期灌流および保存液としてUW液を使用することは,移植後の急性尿細管壊死の軽減に甚だ有効と考えられる.

キーワード
死体腎移植, EC 液, UW 液

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