[書誌情報] [全文PDF] (5971KB) [会員限定・要二段階認証][検索結果へ戻る]

日外会誌. 92(6): 636-644, 1991


原著

MRI による食道癌他臓器浸潤診断に関する研究

千葉大学 医学部第2外科

古川 敬芳

(1990年6月9日受付)

I.内容要旨
食道癌104例にMRIを施行し,他臓器浸潤診断を試み,以下の結果を得た.他臓器浸潤診断のためには,TRを300,400msecとしたSpin Echo法が最良の撮像条件であった.この際,腫瘍は壁肥厚または腫瘤像として描出され,その深達度別腫瘍描出率は,mm 4例中0例0%,sm 6例中3例50%,mp 8例中6例75%,a1以上86例中全例100%であった.大動脈浸潤は,腫瘍と大動脈の接触範囲とその連続性より診断した.スライス厚1cmの連続撮像面において,大動脈全周に対し1/4周以上の接触面を3スライス以上に認める場合を浸潤ありとすると,その正診率は89例中86例96.6%であった.気管・気管支浸潤は,腫瘍によるその変形像を,気管膜様部が外側に凸のI型,平坦なII型,内側に入り込んだlll型,通常の位置から変位したIV型の4型に分類し,I・II型を浸潤なし,III・IV型を浸潤ありとして診断した.正診率は気管20例中19例95%,気管支57例中50例87.7%であった.浸潤面積と診断率の関係をみると,2cm2未満の4例中1例25%,2cm2以上の15例中12例80%の正診率であった.以上,MRIは食道癌の他臓器浸潤診断において有用な手法であることが明かとなった.

キーワード
食道癌, 他臓器浸潤診断, MRI (magnetic resonance imaging), 大動脈, 気管・気管支

このページのトップへ戻る


PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。