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日外会誌. 92(5): 587-591, 1991


原著

冠状動脈バイパス術後の脳梗塞
―その原因と対策―

虎の門病院循環器センター 外科
*) 現 横浜労災病院 心臓血管外科

幕内 晴朗*) , 布施 勝生 , 小西 敏雄

(1990年5月24日受付)

I.内容要旨
昭和57年4月からの6年間に行った単独CABG535例中5例(0.9%)に脳梗塞が発生した.年齢は58~69歳(平均65.2歳)と高齢者が多く,また高血圧と糖尿病をそれぞれ80%と高率に合併していた.原因は3例が上行大動脈の高度粥状硬化性病変の遊離による塞栓,1例が脳動脈硬化症の存在と体外循環中の低血圧による低灌流,残りの1例が難治性上室性不整脈によって形成された左房内血栓遊離による塞栓と考えられた.多発性脳梗塞の2例は術後10ヵ月,21ヵ月にそれぞれ病院死亡となり,単発性の3例中2例は永続性神経障害を残した.CABGの意義をまったく失うことになりかねない脳梗塞の予防には,上行大動脈病変,脳血管病変,術後難治性不整脈に対する十分な配慮が必要である.

キーワード
CABG, 脳梗塞, 上行大動脈病変, 脳動脈硬化症, 術後不整脈

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