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書誌情報]
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日外会誌. 92(5): 496-500, 1991
原著
尿中エンドセリン測定の意義に関する検討
I.内容要旨1989年1月より1990年4月までの間に,当科において右開胸・開腹食道亜全摘,胃管による再建術(R2以上)が施行された食道癌患者11例を対象として血中・尿中ET-1・2,血中心房性Na利尿ホルモン(ANP)を測定した.これとともにNa排泄分画(FENa),自由水クリアランス(CH
2O),クレアチニン・クリアランス(Ccr),尿中NAG指数(NAG),一次水分出納(PWB),一次Na出納(PNB)を測定した.採血・採尿は術前,術直後,術後3時間目・6時間目,術翌日早朝(POD-1),以後POD-2,3,4,5,7において施行し,採尿は,これらの各測定点間における部分尿とした.その結果,尿中ETは,術後3時間をピークとして漸減し,POD-3には,ほぼ術前値に復した.この間,術後3時間,6時間,POD-2において術前値に比して有意差を認めた.血中ETは,POD-1をピークとして漸減し,POD-3には,術前値に復した.しかし,個々の症例間での偏差が大きく有意差は認められなかった.また,腎機能の指標であるFENa,CH
2O,Ccr,NAGは,術中よりPOD-1まで大きく変動したものの,POD-3以降は術前値に復した.これらの指標と尿中ETとの関係は,NAG,Ccrは尿中ETとの間に何等相関関係は認められなかったが,FENa,CH
2Oとの間には有意な相関関係が認められた.また,PWB・PNBとの間にも相関関係が認められた.また,尿中ETと血中ETとの間にも有意な相関関係を認めたことから,ある程度の量が尿中に漏出あるいは濾過されたものと考えることができる.よって,尿中ETを測定することは,尿細管機能の指標であるだけでなく,腎前性腎機能低下を含めた広範な腎機能の指標としても有用であると考えられた.
キーワード
エンドセリン, 尿中エンドセリン, 腎機能, 食道癌
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