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日外会誌. 92(4): 459-463, 1991


原著

乳癌における核 DNA 量と再発との関連について

大阪医科大学 一般・消化器外科

西 律 , 岡島 邦雄 , 田口 忠宏 , 梁 壽男 , 長田 啓嗣 , 金本 裕吉

(1990年3月20日受付)

I.内容要旨
乳癌の核DNA量と再発との関連を明らかにする目的で,拡大乳房切断術施行例中再発をきたした23例について検討を加えた.核DNA量は蛍光顕微測光法で測定し,ploidy pattern,4c以上の細胞出現頻度と初再発部位,健存率,再発までの期間について検討した.
初再発部位別の頻度はD型(diploid type)では骨が71.4%と高率でN型(non-diploid type)での18.8%より有意に高いのに対し,局所・局所リンパ節はすべてN型でN型の31.2%にみられ,N型では肺も25.0%と高率であった.4c以上の細胞頻度は局所・局所リンパ節再発症例が最も高く,遠隔再発例全体,骨再発例より有意に高率であった.
累積健存率はD型がN型より有意に良好であった.2年以内の早期再発はN型再発例の61.1%を占め,D型における14.3%より有意に高率であった.
以上よりD型の症例では再発部位としては骨に最も注意すべきであり,N型で4c以上の細胞頻度,すなわちS期細胞の頻度が高い症例では,2年以内の早期再発の頻度が高いことと,再発部位としては局所・局所リンパ節と肺に特に注意を要すると考えられた.
今回の検討より乳癌では核DNA量は再発と有意の相関を有していることが明らかとなり,核DNA量を知ることは,乳癌の治療法の決定ならびに合理的な術後追跡と再発の早期診断に有益な情報を提供すると考えられた.

キーワード
乳癌, 核 DNA 量, 癌の再発

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