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日外会誌. 92(4): 411-418, 1991


原著

直腸癌の神経周囲侵襲に関する臨床病理学的研究
―特に予後および自律神経温存術との関連性―

久留米大学 医学部第1外科

白水 和雄 , 磯本 浩晴 , 掛川 暉夫

(1990年4月14日受付)

I.内容要旨
1982年以来,prospectiveな研究を続け,今回,直腸癌432例における神経周囲侵襲の意義について,臨床病理学的に検討した.直腸癌の神経周囲侵襲は,①癌の進行度(深達度,リンパ節転移,肝転移,腹膜播種等)や,癌の悪性度(組織型,リンパ管侵襲,静脈侵襲等),炎症細胞浸潤の程度等に関連性が深いと考えられた.②再発や生存率に影響を及ぼす重要な予後因子となることが証明された.③自律神経温存術の適応を神経周囲侵襲が存在しない症例あるいは頻度的にその発現が少ない症例と考えれば,高分化腺癌,深達度がss(a1)以下,リンパ節転移が陰性の症例であることが推測された.

キーワード
直腸癌, 神経周囲侵襲, 自律神経温存術, 予後, 生存率


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