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日外会誌. 92(3): 360-362, 1991


症例報告

心大血管疾患と胆石症に対する同時手術の経験

神戸大学 医学部第2外科

辻 義彦 , 岡田 昌義 , 笹田 明徳 , 太田 稔明 , 細川 裕平 , 山本 信一郎 , 中村 和夫

(1990年2月14日受付)

I.内容要旨
過去5年間に当科において経験した心大血管疾患と胆石症合併例6例について検討を加えた。このうち4例に同時手術が、2例には二期的手術が施行された.同時手術例4例の内訳は腹部大動脈瘤1例,開心術3例であった.その手術手順であるが,腹部大動脈瘤の場合はまず人工血管置換術を行い,後腹膜を閉鎖したのちに同一創より胆嚢摘出術を行った.この際,人工血管感染予防のため腹腔内ドレーンは留置しなかった.一方,開心術の場合は心内操作を終了し心嚢または胸骨を閉鎖した時点で新たに右肋骨弓下切開を加えて胆嚢摘出術を行い,必要に応じて腹腔内ドレーンを挿入した.これら4症例はいずれも順調に経過し軽快退院した.以上より,かかる症例には心大血管手術が順調に施行されたならば胆嚢摘出術を同時に追加してよいものと考えられた.

キーワード
心大血管疾患, 胆石症, 同時手術

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