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日外会誌. 92(3): 357-359, 1991


症例報告

垂直遮断胃形成術によりobesity-related sleep apneaの改善が認められた Pickwickian 症候群の1例

千葉大学 医学部第2外科

宮内 英聡 , 川村 功 , 添田 耕司 , 山崎 一馬 , 宮沢 幸正 , 磯野 可一

(1990年4月16日受付)

I.内容要旨
症例は,22歳男性,入院時身長170cm,体重170kg,肥満度270%で,夜間頻回覚醒,日中傾眠,赤血球増多症,肝機能障害,高脂血症等を認めた.睡眠時には,動脈血ガス分析(FiO2 0.21)で, PaCO2 65mmHg,PaO2 19mmHgと低下し,sleep apnea発作を認めた.内科的治療抵抗性の重症肥満でPickwickian症候群を呈したので,垂直遮断胃形成術を施行した.術後4ヵ月で,体重は57kg減少し,術前後のsleep studyおよび動脈血ガス分析にて術後の著明な改善が認められた.術後1年の体重は107kgで,sleep apneaの減少が認められた.1963年以後のPickwickian症候群と思われた本邦報告199例について文献的考察を加えた.本症候群の治療として,内科的治療,耳鼻科的治療があるが,病態からみて根本治療とはいい難い.本症例に施行した胃形成術は,術前後に施行したsleep studyの検討から,本症候群の病態を改善することが確認され,有効な治療法であると考えている.

キーワード
Pickwickian 症候群, 垂直遮断胃形成術, sleep study


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