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日外会誌. 92(3): 351-356, 1991


原著

悪性腫瘍を合併した心臓外科手術症例の検討

虎の門病院循環器センター 外科
*) 虎の門病院循環器センター 消化器外科

小西 敏雄 , 布施 勝生 , 幕内 晴朗 , 渡辺 泰徳 , 金子 達夫 , 渡辺 五朗*) , 鶴丸 昌彦*)

(1990年3月26日受付)

I.内容要旨
心疾患と悪性腫瘍を合併する症例に外科治療を行うさいには,その治療手順に考慮を要しその成績も問われる所である.そこで,当施設に於ける863例の心臓外科手術症例中の悪性腫瘍を合併していた10例(1.2%)を対象として,その治療成績につき検討した.心疾患に対しては全例に冠動脈バイパス術と,うち1例に弁置換術及び腹部大動脈瘤人工血管置換術も併せて行った.悪性腫瘍に対しては二期的に心臓の手術後(7例)に,あるいは手術前(1例)に外科治療を行った.早期成績では手術死亡及び合併症はなく全例治癒退院した.遠隔成績では腫瘍に対して外科治療を行った8例中1例にのみ再発を認めた.心疾患症例に悪性腫瘍を合併する場合は症例の高齢化に伴い増加するものと思われるが,そのような症例にも積極的に手術治療を行うべきと考えられた.

キーワード
心臓外科手術, 悪性腫瘍

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