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書誌情報]
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日外会誌. 92(3): 288-292, 1991
原著
Flow cytometry による進行胃癌の DNA ploidy pattern と予後
I.内容要旨進行胃癌270例の細胞核DNA量をparaffin包埋標本よりflow cytometryを用いて測定し,予後との関係について検討した.DNA ploidy patternは,diploidが44.4%で,aneuploidが55.6%であった.多変量解析では,DNA ploidy patternは,腹膜播種,肝転移の次に予後を規定する重みがあった.DNA ploidy patternと既存の予後規定因子との間においては,腹膜播種,壁深達度で,aneuploidはdiploidより有意(p<0.01)に多かった.DNA ploidyと予後との関係について見ると5年生存率は,diploidで62.9%,aneuploidで22.7%とaneuploidは有意(p<0.01)に予後が悪かった.各stageごとに5年生存率を検討するとstage Iでは,diploidで83.3%,aneuploidで70.0%であった.stage IIでは,diploidで81.0%,aneuploidで66.7%であった.stage lllでは,diploidで71.2%,aneuploidで25.1%とaneuploidはdiploidより有意(p<0.01)に予後が悪かった.stage IVでは,diploidは31.6%,aneuploidは3.1%と同様にaneuploidはdiploidより有意(p<0.05)に予後が悪かった.また,治癒切除症例の5年生存率は,diploidで77.2%,aneuploidで48.2%で,aneuploidはdiploidより有意(p<0.01)に予後が悪かった.
これらのことより,DNA ploidy patternは進行胃癌の重要な予後規定因子の一つになりうることが推測された.
キーワード
flow cytometry, DNA ploidy pattern, advanced gastric cancer
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