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日外会誌. 92(3): 276-280, 1991


原著

臨床病理学的見地からみた早期食道癌の定義に関する一考察

九州大学 医学部第2外科

桑野 博行 , 杉町 圭蔵 , 森田 勝 , 筒井 信一 , 松田 裕之 , 森 正樹 , 松浦 弘

(1990年3月5日受付)

I.内容要旨
早期食道癌の定義は,近年の診断技術の進歩による比較的早期の症例の増加と相まって再検討を余儀なくされるようになってきた.今回,われわれは病理組織学的に食道癌を詳細に検討したところ15.5%に扁平上皮癌に加えて,腺癌の部分が存在し,その多くの局在は粘膜下層及び粘膜固有層であった.またその組織像は唾液腺等にみられる腫瘍の構造に類似しており,これらのことから,これら腺癌部分の多くは,粘膜下層及び粘膜固有層に存在する食道腺とその導管から発生したものと考えられた.このような病理学的見地からすると,数多くの問題点はあるにしろ,早期食道癌の定義から粘膜下層(sm)癌を除外することは適切ではなく,現在のところ,現行の早期食道癌の定義が妥当なものと考えられた.

キーワード
早期食道癌, 粘膜下層癌, 食道腺癌, 食道固有腺, 癌領域発生

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