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日外会誌. 92(3): 247-256, 1991


原著

Interleukin-2 (IL-2) の腫瘍内注射後誘導した活性化リンパ球の特異的抗腫瘍性

横浜市立大学 医学部第2外科(主任:土屋周二)

高橋 正純

(1990年2月22日受付)

I.内容要旨
皮下移植腫瘍内へrhIL-2を局注したマウスの脾細胞から得たリンホカイン活性化リンパ球には宿主腫瘍に特異的な抗腫瘍性が認められた.
C57BL/6マウスの皮下に同系のB16および3LLを移植し,その腫瘍内へrhlL-2を局注した.これらのマウスの脾細胞をrhlL-2存在下に培養してeffector細胞を得た.このeffector細胞についてin vitroおよびin vivoの各腫瘍に対する特異的抗腫瘍性を検討し,表面抗原を同定した.
1)51Cr遊離細胞障害試験では,各effector細胞は各々の宿主のものと同じ腫瘍細胞に最も高い細胞障害活性を示した.
2)腫瘍中和試験では,各effector細胞は各々の宿主のものと同じ腫瘍細胞の増殖を特異的に抑制した.
3)各effector細胞を皮下移植腫瘍内に移入すると,各々の宿主のものと同じ移植腫瘍が特異的に縮小し,有意な延命効果がみられた.
4)正常マウスおよびrhlL-2の局注を行わなかった担癌マウスの脾細胞からのリンホカイン活性化リンパ球は特異的抗腫瘍性を示さなかった.
5)特異的抗腫瘍性を示したeffector細胞にはThy1.2L3T4細胞の比率が増加していたのに対し,正常マウスおよびrhIL-2の局注を行わなかった担癌マウスから得たものではThy1.2Lyt2細胞の比率が増加しており,両者間の表面抗原に差がみられた.

キーワード
interleukin-2, LAK 細胞, 細胞障害活性, 癌の受動免疫療法

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