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日外会誌. 92(1): 57-63, 1991


原著

腎性上皮小体機能亢進症に対する上皮小体全摘出後前腕筋肉内
自家移植術後の上皮小体ホルモンの変化

1) 名古屋大学 医学部第2外科
2) 名古屋第2赤十字病院 移植外科

田中 勇治1) , 冨永 芳博2) , 林 衆治1) , 佐藤 圭介2) , 打田 和治2) , 舟橋 啓臣1) , 高木 弘1)

(1990年2月5日受付)

I.内容要旨
腎性上皮小体機能亢進症(2°HPT)に対する上皮小体全摘出術後前腕筋肉内自家移植術(PTxG)後の上皮小体ホルモン(PTH)の変動について検討した.特に,PTxG直後および移植腺機能発現時期のPTHの変動について検討した.
PTxG症例の中から5症例を無作偽に選び,全腺の血流遮断時を0として経時的に血中PTHを測定した.PTHの測定には,INT-PTH(INC),HS-PTH(ヤマサ),MM-PTH(INC),C-PTH(栄研)を用いた.5症例における各種測定キットの半減期のmean±SDは,2-コンパートメントモデルを用いた結果,INT-PTH:11.1±3.9分,HS-PTH:9.6±1.7時間,MM-PTH:11.1±2.9時間,C-PTH:10.1±1.2時間であった.PTxG後,INT-PTHは他の測定キットに比べて急激な血中からの消失を認めた.しかし,2°HPTにおけるINT-PTHの半減期は諸家が原発性上皮小体機能充進症例で報告している半減期に比べて延長していた.また,移植腺機能の発現時期をPTH gradientにより検討してみると,INT-PTHは最も早く1.5を越えて早期の移植腺機能の検討に有用であった.
2°HPTに対するPTxGは再発の可能性があり,残存腺の有無の確認および長期的な移植腺機能の観察が必要である.残存腺の有無の確認は術翌日のintact PTHの測定により可能であり,また,intactPTHの測定により早期に移植腺生着を確認できる.その為,PTxG後の管理には,術後1ヵ月間はintact PTHによる経過観察が必要となる.一方,長期的な観察には,2°HPTの移植腺による再発を検討する為,血液透析などでは急激な変化を示さないC末端PTHや中間域PTHの測定が有用である.

キーワード
慢性腎不全, 腎性上皮小体機能亢進症, PTH測定, 半減期, 上皮小体移植

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