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日外会誌. 92(1): 37-45, 1991


原著

実験的閉塞性黄疸における脳組織の変化に関する研究

金沢大学 医学部第1外科

古川 幸夫

(1989年11月2日受付)

I.内容要旨
閉塞性黄疸における脳組織学的変化,減黄率との関係を検討した.成犬を用いた実験的閉塞性黄疸のみのA群(n=25)と,閉塞性黄疸作成の後,減黄術を加えたB群(n=11)を作成し,脳組織学的検査およびEnergy charge(EC)の測定を行い,次の結果を得た.1)閉塞性黄疸の脳組織学的変化として,simple atrophy,pyknosis,neuronophagia,ghost cellの出現などが認められた.2)脳組織学的変化は,閉塞性黄疸7日目からすでに認められた.3)脳組織学的変化を認めた部位は,閉塞性黄疸7日目では大脳基底核,海馬回,赤核で,閉塞性黄疸13日目にはさらに視床,大脳皮質,黒質にも認めた,4)減黄率から減黄の良好なI群から不良なIV群に分類した.neuronophagia,ghost cellはI群,II群に比較してIII群,IV群に多く認められた.5)減黄術後は脳組織学的変化は停滞し,進行することはなかった.6)閉塞性黄疸7日目の黒質を資料としてECを測定した.無処置犬のECは0.77に対し,黄疸犬では0.65に低下していた.以上の結果から閉塞性黄疸では機能的にも組織学的にも変化が大きく,早期に解除されるべきであることが示唆された.

キーワード
実験的閉塞性黄疸, 減黄率, 脳組織学的変化, 脳組織におけるエネルギーチャージ


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