[書誌情報] [全文PDF] (2540KB) [会員限定・要二段階認証][検索結果へ戻る]

日外会誌. 92(1): 24-30, 1991


原著

急性上腸間膜動脈閉塞症の早期診断についての検討
ー臨床的,実験的検討ー

名古屋市立大学 医学部第2外科

桑原 義之 , 片岡 誠 , 榊原 堅式 , 古田 吉行 , 丹羽 傳 , 住田 紀夫 , 正岡 昭

(1989年11月8日受付)

I.内容要旨
急性上腸間膜動脈閉塞症(SMA閉塞症)の早期診断を目的として臨床的,実験的に検討した.臨床的検討:対象は確定診断を得たSMA閉塞症16例とした.臨床所見,救急時の一般検査法では早期診断は因難であった.血管造影は確実な診断法であったが,発症初期にはその適応の判断は困難であり,早期診断には簡便,非観血的な,スクリーニング検査法が必要と思われた.
実験的検討:門脈血流量(PVF)は主な流入血管であるSMAが閉塞された場合,低下すると思われる.もし,その血行動態が本症に特異的なら,超音波断層・パルスドップラー法(PD)を用い非観血的に測定することで早期診断が可能となる.そこで,24頭の雑種成犬を使い,SMA閉塞症,腹膜炎,イレウスの各群を作成し,その門脈血行動態を比較,検討した.PVFの心拍出量に対する割合(PCR)は,SMA閉塞症群が,10%以下であったのに対し,他群は10%以上を示し, SMA閉塞症群と他群との鑑別は可能であった.このことから,PDと心エコー法によるPCR測定は,本症の早期診断における有用な指標となり得ることが示唆された.

キーワード
急性上腸間膜動脈閉塞症, 早期診断, 超音波断層・パルスドップラー法, 門脈血行動態

このページのトップへ戻る


PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。