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日外会誌. 92(1): 17-23, 1991


原著

pm 胃癌の予後規定因子に関する検討

関西医科大学 外科

朴 常秀 , 中根 恭司 , 駒田 尚直 , 中川 学 , 広実 伸郎 , 日置 紘士郎 , 山本 政勝

(1989年12月27日受付)

I.内容要旨
1980年から88年までに当院外科で切除された胃癌794例中85例のpm胃癌を対象とした.
各症例は規約上の病理組織学的因子に加え,腫瘍の発育形式,進展形式,転移リンパ節での腫瘍浸潤形式を検討した.5年以上経過例36例については,原発巣のパラフィン包埋ブロックを用い,核DNA量を測定した.以上から,pm胃癌の臨床病理学的特徴と予後を規定する因子について検討した.
部位別の検討ではC領域癌は高分化型が多く,A領域癌ではリンパ節転移率が高い特徴があった.5生率はC領域癌は58.5%で有意に予後不良であった.肉眼型別の検討ではBorrmann型は早期癌類似型にくらべ,深層型,H型,A型,n(+)症例が多く,5生率も75.9%で早期癌類似型の96.2%にくらべ有意に予後不良であった.ploidy別の検討ではaneuploidyのpm癌は比較的高分化型が多いという特徴があったが,他の病理学的因子との相関は認められなかった.5生率はaneuploid 55.6%,diploid 90.0%であり,aneuploidが有意に予後不良であった.
その他の因子と予後の関連を検討した結果,統計学的に有意差をもって予後不良となった因子は,C領域胃癌,深層型,リンパ節転移全域型,aneuploid型の4因子であった.これらの因子のない症例の5生率は100%であるのに対し,因子が3個以上の症例の5生率は22.2%と極めて不良であった.以上のように,pm胃癌のなかでも非常に予後の不良な症例群があり,このような予後不良因子の多い症例には術後の積極的な化学療法が必要であると考えられた.

キーワード
pm 胃癌, 胃癌の遠隔成績, pm 胃癌の DNA ploidy


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