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日外会誌. 91(11): 1752-1755, 1990


症例報告

盲腸原発の悪性線維性組織球腫の1例

鳥取県立厚生病院 外科

吹野 俊介 , 深田 民人 , 岡野 一広 , 浜崎 尚文 , 井上 明彦 , 湯川 勝託 , 神波 澄幸

(1989年6月12日受付)

I.内容要旨
盲腸に原発した悪性線維性組織球腫(MFH)の1手術例を経験したので報告する.症例は52歳女性,主訴は右下腹部痛,注腸造影,腹部CTで盲腸を全周性にとりまく限局性腫瘍を認めた.右半結腸切除術を施行,腫瘍は盲腸に限局しており,リンパ節転移は認められなかった.切除標本では盲腸を全周性にとりまく8×6×5cmの腫瘍で,白色の硬い組織だが,粘膜面は正常である.病理組織学的所見では,花むしろ紋様を認め,MFHと診断,漿膜下織を中心に腫瘍の増殖があり,一部固有筋層へ浸潤している.以上より盲腸に原発したMFHと診断した.経過良好で術後15ヵ月の現在,再発の徴候はない.
消化管に原発するMFHは極めてまれで,本症例を含めて内外9例の報告があるにすぎない.

キーワード
Malignant fibrous histiocytoma, 盲腸


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