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日外会誌. 91(10): 1648-1651, 1990


症例報告

副伏在静脈瘤の1治験例

至聖病院 
*) 東京女子医科大学 第2外科

金丸 洋 , 朝比奈 完*)

(1989年10月16日受付)

I.内容要旨
きわめて稀な,副伏在静脈aneurysmの1例を経験したので報告する.症例は43歳,男性,右鼠径部腫瘤を主訴として来院し,外科手術により病変部の切除を行った.静脈の嚢腫状拡張を示す病変は稀で,「venous aneurysm」・「瘤状静脈瘤」などの用語が当てられ,頭頸部・四肢静脈,門脈領域,上大静脈領域,及び移植血管に発生する.副伏在静脈に発生した報告は本症例が本邦第1例目と思われる.表在性の場合は,皮下腫瘤・ヘルニアなどとの鑑別が必要である.病理学的には,血管壁の構造により真性と偽性に分けられる.病因は血管壁に損傷を与えるような外傷・炎症・先天的脆弱性・局所的変性性変化などが考えられる.確定診断には血管造影が必要であるが,静脈圧を上昇・低下させるような手技・体位変換・呼吸法における腫瘤の大きさの変化も診断上参考となる.合併症として,稀に内腔に形成された血栓が移動して肺塞栓の原因となる事がある.治療は,表在性の場合は切除されることが多いが,深在性の例では経過観察されることもある.

キーワード
venous aneurysm, 副伏在静脈, 皮下腫瘤

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