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日外会誌. 91(10): 1644-1647, 1990


症例報告

術後膵炎を併発した胸腹部大動脈瘤の1治験例

東京大学 医学部第1外科

重松 宏 , 重松 邦広 , 北山 丈二 , 湯城 宏悦 , 奥村 稔 , 百名 祐介 , 森岡 恭彦

(1989年10月16日受付)

I.内容要旨
腹腔,上腸間膜,両側腎動脈を含む胸腹部大動脈瘤を有する57歳女性に対して,左腋窩右総腸骨動脈間の一時的バイパス下に瘤の切除再建を行った.術後7日目に最高値を示す血清アミラーゼ値の上昇が見られ,超音波検査などから70分間の腹腔動脈遮断による虚血を原因とした術後膵炎と診断されたが,内科的保存療法により軽快退院した.
胸腹部大動脈瘤手術においては腎や肝のみではなく膵虚血に対しても配慮が必要と考えられる.

キーワード
胸腹部大動脈瘤, 膵炎, 膵虚血

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