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日外会誌. 91(10): 1560-1566, 1990


原著

胃癌患者の免疫能に関する臨床的研究
ー第2報 所属リンパ節のT細胞サブセットについてー

群馬大学 医学部第2外科学教室

大和田 進 , 竹下 正昭 , 宮本 幸男 , 泉 勝

(1989年9月14日受付)

I.内容要旨
モノクロ一ナル抗体OKT3,OKT4,OKT8抗体(CD3細胞,CD4細胞,CD8細胞)とLeu 11抗体(CD16細胞)を用いLaser flow cytometerで胃癌患者の末梢血および転移陰性所属リンパ節のT細胞サブセットの胃癌取扱い規約の進行度分類による動態を解析し,末梢血リンパ球のT細胞サブセットの動態と比較検討した.対象は胃癌患者63例で,胃癌取扱い規約による進行度分類の内訳はstage I;28例,stage II;6例,stage III;15例,stage IV;14例であった.転移陰性所属リンパ節の免疫能の測定できた41症例の内訳はstage I;19例,stage II;6例,stage III;7例,stage IV;9例であった.
結果:転移陰性所属リンパ節と末梢血リンパ球を比較すると転移陰性所属リンパ節では,1)CD3,CD4細胞は末梢血より5~10%前後低い値であった.2)CD8細胞は末梢血の1/2~1/3であった.3)CD16細胞は少数であった.
転移陰性リンパ節の胃癌の進行度及び近位リンパ節と遠位リンパ節で検討すると,4)CD3,CD4,CD8細胞は遠位リンパ節に高い傾向がみられた.5)CD3細胞はstageの進行により差はないが,stage IVで低下した.6)CD4細胞はstageの進行により差はみられなかった.7)CD8細胞はstage lI近位リンパ節とstage III遠位リンパ節で上昇した.stageの進行ではstage IVで低下していた.8)CD16細胞はリンパ節リンパ球には少数であったがstage IVで増加した.
転移陰性所属リンパ節ではCD8細胞,CD16細胞が少なくcytotoxic活性やkiller活性が弱いと推定された.

キーワード
胃癌, 胃癌所属リンパ節, monclonal 抗体, T 細胞 subset, single color flow cytometry

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