[書誌情報] [全文PDF] (1128KB) [会員限定・要二段階認証][検索結果へ戻る]

日外会誌. 91(8): 987-993, 1990


原著

疾患別にみた ICG 最大除去率と消失率との相関に関する検討

東京女子医科大学附属第2病院 外科

熊沢 健一 , 菊池 友允 , 中島 久元 , 大石 俊典 , 大谷 洋一 , 芳賀 駿介 , 梶原 哲郎

(1989年9月12日受付)

I.内容要旨
ICG検査のうち血中消失率(以下K・ICG)と最大除去率(以下Rmax)は互いに強い相関をみるもののなかには解離してしまう症例があり,臨床上肝機能の評価に苦慮する時がある.そこで対象146例について両者の関係を検討した.K・ICGとRmaxは相関係数0.749(p<0.001)と強い相関を示した.しかし,95%信頼区間に入っていたのは66例(45.2%)にすぎなかった.この信頼区間からはずれた80例のうちK・ICGの割にRmaxが低いのは39例で,食道静脈瘤非合併肝硬変,閉塞性黄疸症例に多く,またRmaxの割にK・ICGが低いのは41例で食道静脈瘤合併肝硬変,特発性門脈圧亢進症症例が多かった.K・ICGとRmaxに影響を与える因子をみるため他の肝機能検査12項目から重回帰分析を行ったところK・ICGでは血小板数,循環血液量,アルブミンといった門脈圧亢進症に関連した因子が上位を占め,RmaxではLCAT,A/G比,コリンエステラーゼなどタンパク合成能の諸因子が大きく関与していた.したがって,K・ICGとRmaxが持つ意味合いの差から疾患により両者の相関が異なってくるものと思われた.

キーワード
肝機能検査, インドシアニングリーン, ICG 消失率 (K・ICG), ICG 最大除去率 (Rmax), 重回帰分析

このページのトップへ戻る


PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。