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日外会誌. 91(6): 782-784, 1990


症例報告

左側下大静脈を伴った腹部大動脈瘤の1症例

国立南九州中央病院 外科,心臓血管外科

石部 良平 , 丸古 臣苗 , 有川 和宏 , 田畑 傳次郎 , 増田 宏 , 古園 耕治 , 西村 明大

(1989年7月5日受付)

I.内容要旨
腹部大動脈瘤の術前検査の途中,左側下大静脈が発見された.さらに腹部エコーにより瘤より近位の腹部大動脈健常部の前方を横切っている下大静脈が確認されたため手術を安全に行い得た.
左側下大静脈を伴う腹部大動脈瘤は文献的には稀なものと思われるが,血栓,癒着,大動脈瘤・下大静脈痩等の厄介な合併症をしぼしぼ惹起する.また腹部大動脈瘤の手術術式自体も困難なものとなり,術前の認識なしに手術を行うと致命的な血管損傷を引き起こしかねない.術前に下大静脈系の奇形も含めての大動脈瘤周囲の状況を把握するための入念な検査の重要性が改めて強調されるべきである.

キーワード
腹部大動脈瘤, 左側下大静脈


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