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日外会誌. 91(6): 771-773, 1990


症例報告

胃切除を施行した先天性第VII因子欠乏症の1例

仙台赤十字病院 外科

中川 国利 , 古沢 昭 , 桃野 哲 , 佐々木 陽平 , 氏家 紀一

(1989年7月11日受付)

I.内容要旨
血友病類縁疾患の1つである先天性第VII因子欠乏症は,常染色体劣性遺伝型式の稀な疾患であり,手術報告例は極めて少ない.今回我々は,76歳男性の先天性第VII因子欠乏症は(第v因子活性8%,抗原量10.8%)を合併する胃癌症例に対し,リンパ節郭清を伴う胃亜全摘術を施行した.手術に先立ち,第VII因子補充のため血友病B患者で使用されている第IX因子複合体製剤を用いて負荷試験を行い,第VII因子活性の増加度および半減期を調べた.その成績に基づき,術中・術後24時間は第VII因子活性を最低20%以上に維持した.さらに術後1週間にわたり,補充療法を軽減して継続した.以上の第VII因子補充療法により,術中・術後には出血傾向は全く認められず,逆に術後7日目に左大腿静脈血栓症が生じた.

キーワード
先天性第VII因子欠乏症, 胃切除, 第VII因子補充療法


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