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日外会誌. 91(6): 766-770, 1990


原著

下肢静脈疾患における脈波法の有用性
ーとくにストリッピング手術前後の評価についてー

愛知県立尾張病院 外科

平井 正文 , 高木 敏貴 , 佐井 昇 , 久保田 仁 , 日比 道昭 , 川村 光生 , 内木 研一

(1989年6月14日受付)

I.内容要旨
正常20人40肢,一次性静脈瘤48人74肢,静脈血栓後遺症22人28肢を対象とし,ストレインゲージ脈波,反射式光電脈波を用いて静脈機能を評価した.またストリッピング手術を施行した一次性静脈瘤症例においては,術後2週目(52肢)および3ヵ月目(31肢)に静脈機能を再評価し術前値と比較し,以下の結果を得た.
1.静脈瘤群の1/2再充満時間は正常群に比較し有意の短縮を示し,血栓群とほぼ同程度の低値であった.
2.静脈瘤群の運動時静脈還流度は,正常群と同程度の高値を示し,血栓群のみが低値であった.
3.駆血帯を用いて表在静脈を遮断すると,静脈瘤群のみが1/2再充満時間の有意延長を示し,正常群と差を認めなくなった.
4.静脈瘤群の運動時静脈還流度もまた駆血帯を用いることにより有意に大となり,正常群よりさらに高値を示した.
5.ストリッピング術2週後には術前値と比較し1/2再充満時間は有意に延長を示し,運動時静脈還流度は有意に低値となった.しかし,正常群との比較では,いずれの指標もいまだ有意に低値であった.
6.術3ヵ月後には,各値は術後2週目の値より高値となり,正常群との間に有意差を認めなくなった.以上のことより,一次性静脈瘤においては下腿にうっ滞が存在すること,および表在静脈の異常逆流がその病態を形成する主たる因子であると考えられた.この病態は,ストリッピング手術により改善を示すが,術後早期には軽度の静脈機能不全が残存する.しかし,この機能不全は術後経過とともに次第に回復するものである.

キーワード
一次性静脈瘤, 下肢静脈不全, ストリッピング手術, 反射式光電脈波, ストレインゲージ脈波

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