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日外会誌. 91(6): 713-717, 1990


原著

正中頸囊胞に対する Sistrunk 手術のための舌盲孔指示器

岩手医科大学 第1外科
*) 元.岩手大学 工学部金属工学科

佐々木 純 , 菅原 智 , 斎藤 和好 , 藤島 安二郎*)

(1989年7月11日受付)

I.内容要旨
正中頸嚢胞の治療としてはSistrunk手術が最も理想的である.この手術は嚢胞と舌骨正中部を切除したのち,更に甲状舌管を舌盲孔までcore outするものである.しかし実際には舌盲孔の位置が手術野からはわかりにくいので,不完全な手術になり易い.そこで,われわれは舌盲孔指示器を考案製作し,実際の手術に応用してみた.
この指示器は舌盲孔把持器と連結器と指示針の3部分から成る.経鼻挿管麻酔後,口腔側から舌盲孔に止血鉗子を改造した舌盲孔把持器の先端を食い込ませる.更に口腔外に露出している把持器のハンドルに,キリンの形をした連結器の足を連結すると,連結器の頭部は患者の下顎の外側に沿って前頸部前方に来る.嚢胞と舌骨正中部を切除後,舌盲孔に向かって甲状舌管をcore outしてゆく.その途中,キリン型連結器頭部にあるトンネルに指示針を通し,針先が術創底に達するまで挿入する.すると針の挿入された深さと方向から,舌盲孔までの正確な距離と方向がわかる.
舌盲孔まで開通している瘻管を伴なった正中頸嚢胞の術後再発症例に,この指示器を用いてSistrunk手術を行ない,根治せしめ得た.

キーワード
正中頸囊胞, 舌盲孔指示器

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