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日外会誌. 91(5): 639-644, 1990


原著

Metal hot tip 接触法によるレーザー血管形成術の早期臨床成績
ーバルーン血管拡張術との比較検討ー

東京医科大学 外科

石丸 新 , 河内 賢二 , 長田 一仁 , 古川 欽一

(1989年5月29日受付)

I.内容要旨
閉塞性動脈硬化症(ASO)22例の34病変(腸骨動脈7病変,大腿動脈20病変,膝窩動脈7病変)に対し,アルゴンレーザーを使用したmetal hot tip接触法によるレーザー血管形成術を施行し,その早期成績について経皮的バルーン血管拡張術(PTA)の15例と比較検討した.
アルゴンレーザー10watt 5秒間の照射を1単位としたmetal tipの間歇的加熱によって,血管穿孔をみることなく病変の焼灼が可能であった.初回成功率は91.2%であったが,不成功例3例のうち2例はtipの冷却不足による接合部破損,1例は中枢側動脈の血行再建術中急性血栓閉塞であり,手技の改善によってさらに成績の向上が得られるものと考えられた.これに比較し,PTA施行群の初回成功率は86.7%であった.術後6カ月において,レーザー血管形成術の成功19例中4例(31病変中7病変)に再狭窄あるいは閉塞を認めたが,これらはすべて大腿動脈病変であった.また,PTA成功13例中4例に再発を認め,うち2例が大腿動脈病変であった.レーザーおよびPTA治療の6カ月早期開存率はそれぞれ77.4%および69.2%であった.レーザー血管形成術は,完全閉塞血管に対する初回成功率が高い点でPTAより優れており,また6カ月早期成績においては腸骨動脈病変での開存率が良好であった.しかし,慢性動脈閉塞に対し,hot tipによる接触焼灼のみでは十分な血管口径が得られず,バルーン拡張の併用を余儀なくされることから,その遠隔成績についてはPTAの成績との比較においてさらに注意深く検討することが必要である.

キーワード
Laser angioplasty, Argon laser, Metal hot tip, PTA, Arteriosclerosis obliterans

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