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日外会誌. 91(4): 472-480, 1990


原著

内視鏡下電気刺激法による直腸肛門反射測定法の開発

岐阜大学 医学部第2外科
*) 国立療養所長良病院 小児外科

国枝 克行 , 大西 明生 , 東 修次 , 古田 智彦 , 佐治 重豊 , 坂田 一記 , 国枝 篤郎*)

(1988年1月18日受付)

I.内容要旨
従来のバルーン刺激による直腸肛門反射測定法の有する問題点を解決すべく,新たに内視鏡下電気刺激による直腸肛門反射測定法を考案し自験例で検討したところきわめて良好な成績が得られた.
測定器具と方法:自作のオープンチップカテーテル付き筒状装置(外径13mm,長さ52mm)を肛門内圧の受圧部として肛門管内に位置せしめ,オリンパス社製細径直視型内視鏡XP-10(外径7.9mm)をこの筒状装置の内腔を通して直腸内に挿入した.次にオリンパス社と共同開発した特製双極カテーテル電極(金coating製)を内視鏡の鉗子口より挿入して,直視下に腸管壁に接触していることを確認し定電流及び定電圧矩形波刺激を行った.標準刺激条件は安全性を充分に考慮してパルス幅幅1ms,5~7mA(25~30V)で3秒間刺激とした.
測定結果:1)正常例において刺激部位と出現する直腸肛門反射の関係を検討すると,肛門縁より口側になるに従い同一刺激で得られる圧下降の大きさは減少し,また反射のtime lagも有意に延長した.2)直腸癌前方切除術後症例において,新測定法で吻合部の口側及び肛門側刺激を試みた.口側刺激により反射の得られた症例は39例中12例で,いずれも術後9ヵ月以上経過例であった.また端々吻合例は側端吻合例に比して術後反射の出現頻度が高い傾向にあり,術後縫合不全が合併すると反射出現頻度は有意に低下した.3)Hirschsprung病術後反射陽性例のうちDuhamel-岡本法術後の2例の患者で直腸の後壁(引き降ろし腸管)刺激で反射陽性,前壁(無神経節腸管)刺激で反射陰性であった.一方,Soave-伝田法術後の1例ではいずれの部位を刺激しても同様に反射の出現することを確認した.

キーワード
直腸肛門反射, 腸管電気刺激, 直腸内視鏡, 直腸癌低位前方切除術, Hirschsprung 病

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