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書誌情報]
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日外会誌. 91(3): 407-410, 1990
原著
頸部神経鞘腫35例の検討
I.内容要旨症例は当院で手術した単発の頸部神経鞘腫35例,男性11例女性24例,手術時年齢は23~78歳平均42.3歳である.主訴は,全例腫瘤で神経鞘腫に特異的な圧痛を5例,放散痛を4例認めた.迷走神経原発に特異的な腫瘤圧迫による咳漱発作は10例中2例に認めた.腫瘤発生部位は,側頸中部に14例側頸上部に13例と多く鎖骨上窩に7例で前頸正中部に1例であった.術前神経鞘腫の診断のついたものは10例で術前診断は困難であった.発生母地神経では,迷走神経10例,腕神経叢5例,頸部交感神経3例で不明が17例あった.術後合併症では迷走神経原発の8例に堕声,反回神経麻痺を認めた.腕神経叢原発で4例一過性の神経障害を認め頸部交感神経原発で2例ホルネル症候を認めた.腫瘤発生様式より4病型に分類した.神経と腫瘤の連続の不明な1型19例,神経線維が腫瘤表面を覆う4型13例,正常神経繊維を束として腫瘤表面に認める2型2例,神経繊維が腫瘤表面で少し広がって認められる3型1例であった.1型は全例腫瘤摘出したが神経脱落症状は2例のみで腫瘤全摘出でよい.4型では全例被膜下摘出したが11例に神経脱落症状を来し,神経障害の率が高いことを考慮し注意して手術する必要がある.頸部神経鞘腫は術前診断は困難で発生神経により術後重大な神経脱落症状を来す.頸部腫瘤の診断治療では神経鞘腫も考慮にいれ術後の合併症についても知っておくことが必要である.
キーワード
頸部神経鞘腫, 神経脱落症状, 被膜下摘出, 病型分類
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